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「職務経歴書が書けない」は、能力不足ではありません

職務経歴書が書けない悩みをテーマにした就労移行支援のアイキャッチ画像

「職務経歴書が書けません」

「何を書けばいいのか分かりません」

就労支援の現場で、僕が最も多く耳にする悩みの一つです。なんですが、アイ・ワークスでは利用者さんの、この言葉を「経験がない」「能力が足りない」という意味では受け取りません。

むしろ、経験や能力がありすぎで

「自分の経験をどう捉えていいか分からなくなっている状態」

だと考えています。

目次

書けない理由は「やる気」や「能力」ではありません

職務経歴書が書けない方の多くは、これまでに

  • 失敗した経験が強く残っている
  • 評価されなかった記憶がある
  • 「普通はこうだよ」と言われ続けてきた

そんな背景を持っている方がほとんどです。その結果、頭の中ではこんな声が繰り返されています。

「大したことはしていない」
「書けるほどの実績じゃない」
「また否定されるかもしれない」

こんな状態で

「とりあえず、書いてみましょう」
「アピールできることは何ですか?」

と支援員が投げかけることは、支援ではなくプレッシャーになってしまうだけです。

アイ・ワークスの基本姿勢

答えは「教えるもの」ではなく「気づいていくもの」

アイ・ワークスでは、支援の基本方針において支援員が答えを持っているとは考えていません。

なぜなら、その人の働いてきた知識や経験の意味を決められるのは、本人だけだからです。

支援員の役割は、

  • 評価すること
  • 正解を示すこと

ではなく、

本人が、自分の中にある答えに気づく手伝いをすること

だと考えています。

職務経歴書を書く手順

① まずは「書かなくていい」時間をつくります

逆説的ですが、職務経歴書の支援は、いきなりパソコンに向かうことから始まりません。

まずは、話を聞くことからはじまります。

「今日は書かなくて大丈夫です。これまでどんな仕事をしてきたのか、雑談のように教えてください。形にするのは、こちらでやります。」

こんな風に伝えることで、多くの利用者さんがホッとした表情をします。

  • 「評価されない」
  • 「失敗を指摘されない」

そう感じられる空間ができて、ようやく言葉が出てきます。

② 「実績」ではなく「やってきた事実」を一緒に拾う

職務経歴書というと、「成果」「実績」「アピール」といった言葉が先行しがちです。

ですがアイ・ワークスがまず大切にするのは、あなたが日常的にやっていた“事実”です。

  • 毎日決まった時間に出勤していた
  • 電話対応を担当していた
  • 同じ作業を一定期間続けていた

本人にとっては「当たり前」でも、それは立派な職務経験です。

「成果を書かなくても大丈夫です。まずは“何をしていたか”を一緒に並べてみましょう。」

ここでも、評価はしません。事実だけを集めます。

③ 専門的だけど、分かりやすい支援の裏側

アイ・ワークスの支援は感覚的に見えるかもしれませんが、実はキャリア理論に基づいて行っています。

ナラティブ・アプローチ

人は「事実」ではなく、自分が語っている“物語”で自分を評価していると考えます。

「続かなかった仕事」
「失敗した経験」

それも一つの物語ですが、

「工夫しながら続けていた時期」
「一定期間、役割を果たしていた経験」

という別の物語も存在します。

私たちは、物語を書き換えるのではなく、選択肢を並べることを大切にしています。

解決志向アプローチ

「なぜできなかったのか」ではなく、「少しでもできていた瞬間」に注目します。

「全部が大変だったわけではなくて、少し楽だった作業はありましたか?」

ここから見えてくるのは、その人に合った働き方のヒントです。

④ 「こう書くべき」は言いません

支援員が

  • 「普通はこう書きます」
  • 「この表現の方がいいです」

と言ってしまうと、職務経歴書は“やらされたもの”になります。

そこで私たちは、こんな感じで、複数の選択肢を用意します。

時系列で書く形と、仕事内容ごとにまとめる形があります。どちらが自分らしいと思いますか?」

決めるのは、いつもご本人です。

⑤ 振り返りまで含めて、支援です

提案して終わり、ではありません。

「この進め方、どう感じましたか?」
「少し書けそうな気持ちになりましたか?」

合わなければ、やり方を変えます。それも含めて、支援です。

やってしまいがちなNG対応

良かれと思って、こんな言葉を使っていないでしょうか。

  • 「アピールできることはありませんか?」
  • 「とりあえず書いてみましょう」
  • 「どうして続かなかったんですか?」

これらは、利用者を責めているつもりがなくても、評価されている感覚を生みやすい言葉です。

アイ・ワークスでは、評価よりも「事実」。正解よりも「選択」を大切にしています。

これらの対応がなぜNGなのか?

NG①「何かアピールできることはありませんか?」

なぜNGか

  • 利用者に「評価される視点」を強制する
  • 「ない=ダメ」という構図を作る

起きやすい結果

  • 黙る
  • 「ありません」と終わる
  • 自己否定が強まる

代替表現

「アピールになるかどうかは後で一緒に考えます。まずは、やっていたことを教えてください。」


NG②「どうして続かなかったんですか?」

なぜNGか

  • 原因追及=責められている感覚
  • 弁解モードに入る

代替表現(解決志向)

「続けるのが難しくなった頃、何が一番しんどかったですか?」

※「どうして」を「何が」に変えるだけで圧が激減します


NG③「普通はこう書きます」

なぜNGか

  • 支援員が“正解保持者”になる
  • 利用者の自己決定を奪う

代替表現

「一般的な書き方の一例はありますが、○○さんに合うかどうかは別なので、選択肢として見てみましょう。」


NG④「とりあえず書いてみましょう」

なぜNGか

  • 不安が強い人には最も酷な一言
  • “丸投げ支援”に感じられる

代替表現

「今日は書かなくて大丈夫です。話すだけで、形にするのは私がやります。」

職務経歴書につなげる【質問テンプレート】

具体的に履歴書を一緒に作る手順も順を追って解説します。

フェーズ1:安心を作る(5分)

「評価や正解を探す時間ではありません。思い出しながら話すだけで大丈夫です。」

フェーズ2:事実を集める(棚卸し)

①期間

「その仕事は、どれくらいの期間やっていましたか?」

②頻度

「週に何日くらい行っていましたか?」

③内容

「一日の流れを教えてもらえますか?」

④関わり

「誰と一緒に仕事をすることが多かったですか?」

フェーズ3:例外を拾う(解決志向)

「その仕事の中で、少しだけ“やりやすかった作業”はありましたか?」「そのとき、何が違っていましたか?」

フェーズ4:意味づけは“仮”で返す(ナラティブ)

「今の話を聞いて、“毎日決まった作業を安定して続けていた”という見方もできそうですが、どう感じますか?」

  • 断定しない
  • 「どう感じますか?」で必ず返す

フェーズ5:必ず本人に選ばせる(自己決定)

「今出てきた内容、職務経歴書に入れるとしたら、
・シンプルに書く
・少し詳しく書く

どちらが合いそうですか?」

職務経歴書は、「うまく書ける人だけが作れるもの」ではありません。思い出しながら話したことを、少しずつ言葉にしていくだけで大丈夫です。立派な表現や、正解を探す必要はありません。

ここで紹介した手順は、がんばって自分をよく見せるためのものではなく、あなたがやってきたことを、安心して並べてみるための道しるべです。

  • 「これなら書けそう」
  • 「これは今は書かなくていいかも」

そうやって選ぶことも、立派な一歩です。

職務経歴書は、誰かに評価されるためだけの紙ではありません。自分の経験を、自分で認めるための紙でもあります。

ここで集めた話を使って、実際に職務経歴書の形にしていきます。一緒に、ゆっくり進めていきましょう。

アイ・ワークスが目指している支援

職務経歴書は、就職のための書類である前に、

  • 「自分は、ちゃんと働いてきた」
  • 「自分なりに工夫してきた」

そう実感するためのツールだと考えています。

支援員と利用者は、先生と生徒ではありません。過去の経験という地図を一緒に広げ、あなたが活躍できる場所を探すパートナー・仲間です。

「書けない」から始まる支援があってもいい

もし今、職務経歴書が書けなくて止まっているなら、それは「遅れている」のではありません。

これまで、

  • がんばりすぎてきた
  • 否定されすぎてきた
  • 一人で抱えすぎてきた

だけかもしれません。

アイ・ワークスでは、「書けるようになってから来てください」とは言いません。むしろ、書けないところから始める支援を大切にしています。

  • 話すだけでいい日。
  • 何も決めなくていい日。
  • 「どう感じるか」を一緒に確かめる時間。

そこから、少しずつで大丈夫です。

職務経歴書のことで、もし「誰かと一緒に整理したい」と感じたら、その気持ちが、最初の一歩です。無理に前に進まなくて構いません。立ち止まった場所から、一緒に始めましょう。

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迷っている段階でも大丈夫です
アイ・ワークスでは、就労移行支援・生活訓練・就労定着支援を行っています。
「どの支援が合うか分からない」という段階でも、状況を整理するところから一緒に考えます。

この記事を書いた人

田村 義邦のアバター 田村 義邦 アイ・ワークス代表

サビ管・相談支援専門員・障害雇用専門キャリコン(予定)。障害児の父としての当事者経験をきっかけに障害福祉の世界へ。障害者雇用の職場定着支援が得意です。2025年は職場定着率100%を達成!「働く未来を、もっとわくわく、もっと愉しく」がモットー。

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