「相談支援」という言葉を、聞いたことはあるでしょうか。
障害福祉のサービスを使うとき、必ず出てくる言葉です。ただ、それが何のしくみなのかは、あまり知られていません。
私は相談支援専門員です。この仕事をしていて、いつも思うことがあります。
この記事では、相談支援のしくみを最初から整理します。専門職に向けてではなく、これから使うかもしれない方に向けて書きます。
相談支援って、何のことですか
ひとことで言うと、こういうしくみです。
障害のある方が使えるサービスを一緒に探して、使えるように手続きを整えて、使い始めたあとも様子を見にいく。
その役をする人を、相談支援専門員と呼びます。
やっていることは、大きく3つに分かれます。
| 時期 | すること |
|---|---|
| 使う前 | 話を聞いて、状況を整理する |
| 使うとき | サービスを使うための計画書をつくる |
| 使ったあと | その後どうですか、と様子を見にくる |
真ん中の「計画書」が、制度の中心にあります。
なぜ、計画書が要るのですか
ここが、いちばん分かりにくいところだと思います。
障害福祉のサービスは、「使いたいです」と言えば使えるものではありません。
市役所が「使っていいですよ」と決める、という手順が間に入ります。
その判断のもとになるのが、計画書です。
計画書には、こういうことが書いてあります。
- その方が、どんな暮らしをしたいと思っているか
- そのために、どのサービスを、どれくらい使うか
- 誰が、何を手伝うか
正式には「サービス等利用計画」という名前です。長いので、ここでは計画と呼びます。
誰が対象になるのですか
もともとは一部の方だけでした。それが平成27年度から、全員に広がりました(厚生労働省)。
つまり、特別な人だけのしくみではありません。サービスを使うなら、必ず通る道です。
手帳についても、ひとつ書いておきます。
手帳がなくても対象になる場合があります。難病のある方は、対象となる病気が定められています。2025年4月1日からは376の病気が対象です(厚生労働省)。
ただし「誰でも使えます」ではありません。ご自身が対象かどうかは、市役所で確認するのがいちばん確実です。
手続きは、どういう順番ですか
順番を表にします。ここを知っているだけで、窓口での話が分かりやすくなります。
| 順 | すること | 動く人 |
|---|---|---|
| 1 | 市役所にサービスの申請をする | ご本人・ご家族 |
| 2 | 相談支援事業所と契約する | ご本人・事業所 |
| 3 | 話を聞いて、状況を整理する | 相談支援専門員 |
| 4 | 計画の下書きを市役所に出す | 相談支援専門員 |
| 5 | 生活の手助けのサービスなら、区分の認定を受ける | 市役所 |
| 6 | 市役所が「使っていいですよ」と決める | 市役所 |
| 7 | サービスを使うためのカードが届く | 市役所 |
| 8 | 関係する人が集まって話す | 関係者 |
| 9 | 正式な計画ができる | 相談支援専門員 |
| 10 | サービスが始まる | ご本人 |
| 11 | しばらくして、様子を見にくる | 相談支援専門員 |
出典は厚生労働省の事務処理要領(令和8年7月版)です。
計画は、2回つくります
表の4番と9番を見てください。計画が2回出てきます。
ここは、多くの方が混乱するところです。
1回目は「下書き」です。市役所はこれを見て、使っていいかどうかを決めます。
2回目が「正式版」です。関係する人が集まって話し合ったあとに、できあがります。
「もう計画を出したのに、また計画をつくるんですか」と聞かれることがあります。そういうしくみだ、というだけの話です。
お金は、かかりますか
ここは、はっきり書きます。
相談支援そのものに、利用する方の負担はありません。
計画をつくってもらうのも、その後で様子を見にきてもらうのも、費用はかかりません。複数の自治体が、ホームページに明記しています。
ただし、例外がひとつあります。
実施地域の外から来てもらう場合について、交通費がかかることがある、という内容です。
なので「絶対にゼロ円」とまでは言えません。契約の前に確認してください。
使い始めたあとは、どうなりますか
サービスが始まって、それで終わりではありません。
しばらくすると、相談支援専門員がまた会いに来ます。「その後どうですか」と聞きます。合っていなければ、変えます。
この訪問の間隔は、毎月・3か月ごと・6か月ごと等です。
決めるのは市町村です。全国共通ではありません。
実際にどう設定されているかを、厚生労働省が令和6年に調べています。
| 見直しの間隔 | 割合 |
|---|---|
| 毎月 | 5.2% |
| 3か月ごと | 35.2% |
| 6か月ごと | 52.4% |
いちばん多いのは6か月ごとで、半分を少し超えるくらいです。3か月ごとが3人に1人ほど。毎月というのは、20人に1人ほどになります。
この話は、別の記事で詳しく書きます。
自分でつくる、という道もあります
計画は、相談支援事業所に頼むほかに、自分でつくることもできます。これをセルフプランと呼びます。国が正式に認めているやり方です。
ただし、選ぶとなくなるものがあります。事業所どうしの調整、定期的な見直し、関係者を集めた話し合いです。
そして、これが大事なところなのですが─
国自身が、「本人や保護者が希望しない場合もセルフプランとなっている」と書いています。
つまり、セルフプランを使っている人も必ずしも自ら選んだ結果ではない、ということです。ここは別の記事でくわしく解説します。
地域によって、違います
最後にひとつだけ。
この記事に書いたことは、国が定めた大きな枠組みです。実際の運用は、市町村によってかなり違います。
- 窓口の課の名前
- 年齢によって窓口が分かれるかどうか
- セルフプランをどこまで認めるか
- 見直しの間隔の決め方
- 相談支援事業所の空き具合
このあたりは、お住まいの市町村で確認してください。「うちの市はどうなっていますか」と聞けば、教えてもらえます。
この記事のまとめ
3つだけ持ち帰っていただければ十分です。
- サービスを使うには、計画が要る
- 計画をつくってもらう費用は、原則かからない
- 使い始めたあとも、見にきてくれる人がいる
参考にした資料
- 計画相談支援のしくみ(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000707198.pdf
- 障害者総合支援法における給付決定等事務処理要領(厚生労働省・令和8年7月版)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf
- 障害者相談支援事業の実施状況等の調査結果(厚生労働省・令和6年)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001457588.pdf
- 計画相談支援について(大阪市)https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000173623.html

