「支援区分って何?」
「申請しないといけないの?」
――アイ・ワークスに来てくださる方から、よくいただく質問です。
障害支援区分とは、障害福祉サービスを利用するときに必要となる「支援の必要度を示す区分」のこと。でも、区分がなくても使えるサービスはたくさんあります。
この記事では、制度の仕組みから申請の流れまで、現場目線でていねいに解説します。
障害支援区分とは何か
障害支援区分とは、「どれくらいの支援が必要か」を共通の基準で数値化した区分です。障害者総合支援法にもとづく福祉サービスを利用するとき、この区分をもとにどのサービスが使えるかが決まります。
区分は「非該当」と「区分1〜6」の7段階。数字が大きいほど、日常生活で必要な支援が多いと判断されます。
区分は「障害の重さ」そのものを表すのではなく、「生活の中でどれだけサポートが必要か」という視点で評価されます。同じ診断名でも、生活環境や状況によって区分は異なります。
誰が対象になるの?
障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスは、以下のいずれかに該当する方が対象です。
- 身体障害者(視覚・聴覚・肢体・内部障害など)
- 知的障害者(手帳がなくても医師の診断書で確認できれば対象になる場合あり)
- 精神障害者・発達障害者(うつ病、統合失調症、ASD、ADHDなど。手帳がなくても対象になる場合あり)
- 難病患者(指定難病を持つ方。令和4年4月時点で341疾患が対象)
- 障害児(0〜18歳未満)
発達障害(ASD・ADHDなど)のある方も対象です。「手帳を持っていないと使えない」と思っている方もいらっしゃいますが、医師の診断書があれば手続きを進められる場合があります。まずはスタッフにご相談ください。
区分がなくても使えるサービスがある
「障害支援区分」と聞くと、「まず申請しないと何も使えない」と思いがちですが、区分の認定なしで利用できるサービスも多くあります。
区分認定が不要な主なサービス例
就労移行支援、自立訓練(生活訓練)、就労定着支援、グループホーム(共同生活援助)など
たとえばアイ・ワークスが提供する就労移行支援・就労定着支援や自立訓練(生活訓練)は、障害支援区分の認定を受けていなくても利用できます。「まず仕事につながる準備をしたい」という方は、区分の申請と並行して、あるいは申請より先に相談にいらしていただいてかまいません。
「区分を取ってからじゃないと就労移行支援は使えないんですよね?」
と聞かれることがありますが・・・
いいえ!障害支援区分がなくても利用できるサービスは多いです。
利用したいと思っているサービスに障害支援区分が必要かどどうかをまずは相談することをお勧めしています。

区分1〜6の目安
区分は認定調査や医師の意見書をもとに、コンピュータ判定+審査会の二段階で決まります。同じ状態でも担当者や自治体の判断で変わることもあるため、「自分は何区分になるか」を事前に正確に予測するのは難しいのが実情です。 おすすめの考え方は、「自分が使いたいサービスに必要な区分はどこか」という逆引きの視点です。以下の表で確認してみましょう。
| サービス名 | 非該当 | 区分1 | 区分2 | 区分3 | 区分4 | 区分5 | 区分6 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 就労移行支援 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 自立訓練(生活訓練) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 就労定着支援 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| グループホーム(共同生活援助) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 短期入所 | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 居宅介護 | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 行動援護 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 生活介護 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 施設入居支援 | × | × | × | × | ○ | ○ | ○ |
| 重度訪問介護 | × | × | × | × | ○ | ○ | ○ |
| 療養介護 | × | × | × | × | × | × | ○ |
認定調査で何を見るの?
区分の認定には、認定調査員による訪問調査が行われます。心身の状態をいくつかの項目に沿って確認し、「どの程度のサポートが必要か」を評価します。
🚶 移動・動作に関する項目(12項目)
寝返り・起き上がり・座位保持・立ち上がり・移乗・歩行などについて確認します。「支援不要」「見守りが必要」「部分的サポートが必要」「全面的サポートが必要」の4段階で評価されます。
🍽 身の回りの世話・日常生活に関する項目
食事・入浴・排泄・薬の管理・金銭管理・日常の意思決定・交通手段の利用などについて、「支援不要」「部分的サポートが必要」「全面的サポートが必要」の3段階で評価されます。
💬 意思疎通に関する項目(6項目)
視力・聴力・コミュニケーション・説明の理解・読み書き・感覚過敏や感覚鈍麻の6項目を確認します。
🏥 特別な医療に関する項目
点滴の管理・透析・酸素療法・気管切開の処置など、継続的に行われている医療行為があるかどうかを確認します。
調査を受ける前のアドバイス
調査当日はたまたま調子が良くて、いつもの困りごとが伝えられなかった、というケースがよくあります。「ふだんどんなことに困っているか」をメモにまとめて持参するのがおすすめです。評価されるのは調査当日の状態だけではなく、普段の状態です。
申請から認定までの流れ
認定を受けるまでには、以下の5つのステップがあります。自治体によって異なりますが、数ヶ月かかることも珍しくありません。早めに動くことをおすすめします。
お住まいの市区町村の「障害福祉課」などへ申請します。窓口名は自治体によって異なるため、事前にホームページで確認しておくとスムーズです。
調査員が自宅などを訪問し、心身の状態を1項目ずつ確認します。ふだんの様子をメモしておくと伝えやすくなります。
調査結果と全国共通の基準でコンピュータが判定します。
一次判定結果と特記事項、医師の意見書を基に「市町村審査会」が総合的に審査・判定します。
区分が決定し、通知が届きます。有効期間は原則3年です。
更新手続きを忘れずに!
有効期間は原則3年です。期間が終わっても同じサービスを継続したい場合は、期限前に再申請が必要です。更新にも数ヶ月かかることがあるので、余裕をもって早めに手続きしましょう。
区分で変わるサービス(自立支援給付)
障害支援区分にもとづいて利用できる自立支援給付は、主に以下の5種類です。
🏠 介護給付
居宅介護(ホームヘルプ)・重度訪問介護・行動援護など、日常生活に必要な介護を提供するサービスです。区分に応じて使えるサービスの種類が変わります(例:重度訪問介護は区分4以上、行動援護は区分3以上)。
🎓 訓練等給付
就労移行支援・自立訓練・就労継続支援など、生活能力や就労スキルを身につけるための訓練サービスです。障害支援区分の認定は不要で利用できます。
🏥 自立支援医療
心身の障害を軽減するために必要な医療費の自己負担を軽減する制度です。精神通院医療(発達障害を含む)・更生医療・育成医療の3種類があります。
🦽 補装具支援
義肢・補聴器・車椅子など、身体機能を補う用具の購入費用を補助する制度です。原則1割の負担で利用できます。
🤝 相談支援
サービス等利用計画の作成を支援する「計画相談支援」と、施設から地域生活への移行をサポートする「地域相談支援」の2種類があります。
手帳・年金など、ほかに使える制度
障害福祉サービス以外にも、生活を支えるさまざまな制度があります。それぞれ申請窓口や条件が異なりますので、気になるものからスタッフにご相談ください。
🪪 障害者手帳
身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳の3種類があります。取得すると交通機関の割引・税金の控除・障害者雇用枠への応募などが可能になります。精神障害者保健福祉手帳は発達障害のある方も対象です。

💰 障害年金
病気やけがで生活・就労が困難な方に国から支給される年金です。国民年金加入時が初診であれば「障害基礎年金」、厚生年金加入時であれば「障害厚生年金」を請求できます。障害支援区分とは別の基準(障害等級)で判定されます。
💼 障害者雇用
障害者手帳を取得すると、企業の「障害者雇用枠」での就職活動ができるようになります。合理的配慮を受けながら働きやすい環境を整えやすいのがメリットです。アイ・ワークスでは障害者雇用での就職支援も行っています。

🧾 障害者控除
障害を持つご本人やご家族の所得税が軽減される制度です。手帳の等級によって控除額が異なります
| 区分 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 |
制度の混同に注意
「障害年金」「障害者手帳」「障害支援区分」はそれぞれ別々の制度・別々の等級基準です。「手帳があれば区分も自動的に決まる」というわけではなく、それぞれ個別に申請が必要です。
まとめ:まず「相談」から始めましょう
障害支援区分は、必要な支援の度合いを共通の基準で判定したものです。福祉サービスを利用するうえで重要な指標ですが、区分がなくても使えるサービスはたくさんあります。
- 就労移行支援・自立訓練などは、区分の認定なしで利用できます
- 申請には数ヶ月かかる場合があるので、早めに動くことが大切です
- 調査当日は「ふだんの困りごと」をメモして持参すると伝えやすくなります
- 手帳・年金・控除など、区分以外にも活用できる制度はたくさんあります
「何から始めたらいいかわからない」という方は、ぜひアイ・ワークスのスタッフにご相談ください。制度のことも、就労のことも、一緒に整理します。


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